第六章

 

 

 

 

「馬鹿な弟達が、足引っ張りやがって」

 
 月のまぶしい夜。

 

 山賊団の首領ゴルドーの長子、『独眼』のカインがペッと岩場に唾を吐いた。

 その傍には、ついさっきまで呼吸していた弟のボックの亡骸が転がっている。ボックの肉体は、ゴザや、他の手下達のようにぐちゃぐちゃにされてはいなかった。ただ生殖器官は徹底的に破壊され、その全身には100を超えるピアッシングが施されている。そして仰向けに晒された腹部には皿がおかれ、冷めたハンバーグが載せられていた。そえられたメッセージカードには『ポコチンハンバーグ 材料:ボックのチンポとキンタマ♪』とだけあった。

 首から下の自由を奪われているらしい弟が泣きながら助けを求める声を無視し、カインはその首に剣を突きたて、殺したのだ。

 

 ずちゅ、ぐちゅ、ぶちゅっ……
「んんー、んんんー、んんんーっ」
 山賊団のアジトから少し離れた岩場。

 弟の死体の傍で、カインは平たい岩に腰掛けたまま、少女を膝に乗せ、背後から秘孔を貫いていた。

 見たところまだ幼いその裸の少女には、手足がなかった。

 両腕は肩のすぐ先から、両脚は膝のあたりで切断されている。

 唇は糸で縫いつけられており、辛うじて開いた部分から、彼女の喘ぎ声が漏れていた。

 

(──────!)

 
 カインの研ぎ澄まされた耳が、かすかな気配を感じ取る。
「来たか…………ジョセフィーヌ」

 極太の肉棒が脈動し、大量の精液が、手足のない少女の膣奥で弾けた。

 カインは少女と繋がったまま、手に剣を持ち、闇の先に佇む1人の女を見据える。

 
「カイン………」

 
 山賊団の1人から盗んだとおぼしき革鎧に身を包んだジョセフィーヌが、手に斧を持って近づいてきた。
「約束通り、1人で来たか、ジョセフィーヌ」
「レ、レイに、なんてことを……」
 ジョセフィーヌのぎりぃ、という歯ぎしりが、闇のしじまに木霊した。
「…………ふ、久し振りに妹と対面した感想はどうだ? わざわざ、街までいって、高い金払って買い戻したんだぜ? いっとくが、手足を切ったのも口を塞いだのも俺じゃない。売られた先の変態が、金にあかして改造したのさ」

 
 カインの長いペニスが、にゅぽ、と引き抜かれる。

 拍子に、大きく開いた少女の膣孔から、ドロリと白濁液が滴り落ちた。

 
「あのイカレた双子はどぉか知らねぇが、他の女達はずいぶんと情が厚かったからなぁ。特にお前のお人好しぶりには、ずいぶん笑かしてもらったぜ。俺が最初にこいつの処女マンコいただこうとした時も、お前が泣きながら身代わりになったっけ。ま、お前を愉しんだ後、しっかりレイのマンコも頂いたけどな」
「何が望みだ。わたしの身体か、命か?」
「勘違いするな。俺はお前には何の興味もない。もっといえば、あの馬鹿双子にも、ニナにも、キニーにも興味がない。それどころか、俺は親父にも山賊団にも何の関心もねぇ」

 
 カインはそう言って、失われた左眼を覆う眼帯を指でこんこん、と叩いた。

 
「───────だが、あのレイファのガキだけは別だ。逃げ出す時、あいつは俺の目玉を抉った。ヤツだけは俺が八つ裂きにしてやる。そこで取引だ。俺の計画に手を貸せ。その代わり、お前の妹はくれてやるし、ついでに、山賊団の壊滅にも手をかしてやる」

「そんなもの、信用できると思うか」
「できなきゃ、ここでお前も妹も殺す」
 達磨のレイを岩場に転がし、カインは立ち上がった。

 全身から殺意が漲っている。

 山賊団の中では、剣の腕でカインの右に出る者はいなかった。

 また、彼はただ強いだけではく、狡猾さと油断のなさをも兼ね備えている。

 この複雑な地形の岩場をジョセフィーヌとの待ち合わせ場所に指定したのも、まさかの伏兵や罠に備えての事だった。

 
「んんんー、んん、んーっ!」

 
 無惨な姿で平岩に横たわる少女が、瞳に涙をためて、懸命に姉への想いを込める。
「…………ふん、『わたしの事はどうでもいい、姉さん、逃げて!』 ………そんなとこか。この姉にして、この妹ありだな」
 カインが馬鹿にしたように薄笑いを浮かべた。
「お前に、わたし達の何が分かる」
 ジョセフィーヌが憤怒の表情を浮かべ、一歩前進する。
「交渉決裂か」
「もとより、交渉などする気はない。お前を殺して、レイを助ける」

 
 呼吸が荒い。

 
 斧をぎゅっと握りしめ、ジョセフィーヌは脳裏に自分の「死」をはっきりとイメージしていた。

 力量の上では、ジョセフィーヌはカインの足下にも及ばない。

 山賊団の手下との実戦を経て、確かに彼女の戦闘能力は以前のそれとは比べものにならない程に上がっていた。

 が、達人クラスの相手となると話にもならないだろう。

 
「悲壮だな」

 
 カインが正眼に切っ先を構えた。
 ジョセフィーヌの喉が、ごく、と鳴る。

 
(狙うは相討ち)

 
 彼女は仲間達に黙って屋敷を抜け出した際、キッチンのナベの蓋に手紙を隠してきた。そこにはこの場所と、皆への謝罪が記されている。翌朝になれば、朝食を作る係の京香と蓮香がそれを発見するだろう。妹は、仲間達が保護してくれる。カインという男は、もともと仲間の誰をも信用していない。間違いなくここへは1人できているハズだ。が、それだけに用心しているだろうし、仮に彼女が、妹の命を棄てて仲間全員でここにやって来ていたとしても、その気配を敏感に察知し、逃げおおせるだけの算段はしているに違いなかった。残る手は、自分を『格下』とみなすカインの絶対的な自信の裏をつき、身を捨てて一緒に地獄に堕ちるまでだ…………

 

「うぉおおおおっ!」
 ジョセフィーヌが駆け出した。
 カインは構えを崩さず、冷たい片目を相手に向けている。
 不意に、
 ガシャンッ

「痛っ!」
 足をとられ、彼女は体勢を崩した。
 足下を見て、ジョセフィーヌは絶望した。

 地面に仕掛けられていたのは、獣を捕る為に使われる「虎挟み」。

 ギザギザの鉄先が彼女の足首に食い込み、じくじくとブーツに血を滲ませていく。

 
「…………お人好しは、マヌケが多いよな」

 
 カインはにぃ、と邪悪な微笑みを浮かべ、こき、と首を鳴らす。
「く、ひ、卑怯な」
「はっは、卑怯は山賊の代名詞だよ。………まったく、馬鹿なヤツだ。俺ぁ、さっきの話、結構マジだったんだだぜ? ま、こうなっちまったら仕方ねぇ。とりあえずお前だけでも連れ帰って、クソ親父のご機嫌でもとっとくか。妹ともども、手下どもの精液便所に戻ったあげく、生皮剥がれて殺されな。レイファを仕留める策はまだまだある」
 足を封じられては相討ちすらできない。このまま足首を切り落とす前に、カインの剣が彼女の首を刎ねているだろう。

 

(ち、畜生! 畜生………ッ!)

 

 ジョセフィーヌは悔し涙を流し、残してきた仲間達に心の中で詫びていた。

 

 


 

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