第24章

 

 

 

 結局、田中麗香は高校を中退した。

 

 今は家を出て、一郎と純の部屋に住んでいる。ただ今妊娠3ヶ月。

「けっこう大きくなってきてない?」

 バスルームで、純の膨らんだ下腹部をさすりながら、麗香。

 彼女の子供はもう5ヶ月に入っている。

「超音波検査してもらったら、女の子ですって。普通、女性がオーガズムに達した時は男の子が産まれる確率の方が高いのにね………」

 純はそういって笑った。

 

 麗香は純に勉強を見てもらいながら、大検を取って、一郎の大学へ入れるよう必死に頑張っている。

 元々それほど勉強はできない方ではないから、再来年の受験までにはメドがつきそうだった。

 もちろん、一郎とは毎晩交わっている。

 既に妊娠している子宮口に、精液を注がれ、純も麗香も深いアクメを貪っていた。

 寝る時は3人一緒だ。

 不思議と、一郎を2人で取り合うことはなかった。

 拓郎のその後は知らない。

 おそらく、あのままの状態で、ずっと生きていくのだろう。

 麗香は憐憫を感じたが、それ以上の感情はなかった。

 

 

 

 

 

 トモヤは学校をサボり、家を抜け出してきたカナと連れ添って、彼らが通う高校から駅4つ向こうに位置する、彼の兄、一郎が通う大学のキャンパスにやってきていた。掲示板を横切り、5号棟、6号棟………

 

 ?号棟………何故か、数字の部分が削れてなくなっている不思議な建物の中へ、2人は連れだって入る。階段をあがり、廊下を進んで3つ目の扉。『神崎研究所』とプレートのかかった扉を、トモヤはとんとん、とノックした。

 
「うん? 誰?」

 
 若い男の声がした。

 
「兄貴、オレだよ、トモヤ」
「あぁ………トモヤか。うむ…………誰かと一緒か?」

「カナと一緒に」

「そうか、まぁ、入れば良い。今はヒマだ」

 

 扉を開き、トモヤはカナを連れて中に入る。

 神崎一郎は、椅子に座ったまま、煙草をふかして来室者を迎えた。

「久し振りだ。…………ん? トモヤ、その顔はどうした」

 トモヤの左の頬が、僅かに晴れ上がっている。

「あぁ…………その、ちょっと」
「わたしのお父さんに殴られたんです、トモヤくん」

 トモヤの横で、少女が申し訳なさそうに言った。

「なるほど…………それは何とも、マヌケだ」

 ふぅー、と煙を吹き、一郎。

「つまり、カナくんは妊娠したのだね?」

「はい」

 ゆわ、と微笑んでカナ。

「やれやれ…………だからコンドームを使うよう何度も指導したのにな……………………まぁいい。で、トモヤ。これからどういうプランニングを立てているんだ?」

「えっと…………その、兄貴は滅多に実家に帰って来ないから知らないだろうけど、今、カナ、うちで住んでるんだ。その…………母さんにも相談したんだけど、なんか、『じゃあ一緒に住めばいいんじゃない』とか、すっげ軽くて…………」

「母さんらしい。だが適切な判断だ」

 一郎が評価した。

「たぶん、母さんの出したアイディアはこうだな? カナくんを病気になったことにして今の高校を休学させる。で、休んでいる間に出産し、その後復学。トモヤはそのまま高校をちゃんと卒業し、職をもってカナくんとその子供を養う。それまでは母さんが2人の面倒を見る…………どうだ」

「あ、え…………そ、そうです。どうして、分かるんですか?」

 驚いた顔で、カナ。

「どうしてと言われても、まぁ、一応僕も、あの母親に育てられた身だからね。思考パターンはだいたい分かる。ただ、職を持つなら、うちの会社を紹介しようか?」

「い、いいよ。兄貴の会社って、IT系だろ? 俺、そういうの、わかんないから………」

「仕事など、何をやってもそれほどの違いはない」

 灰皿に煙草を押しつけ、一郎がトモヤを見た。

「要は、時間を賃金に換算するだけのことだよ。その効率性が、すなわち実質的な収入差に結びつく」

「お兄さんとトモヤくんのお母さん、すっごく優しい人ですね」

 カナが話題を変えた。

「優しい、の定義にもよるけれども、一般に近所の人や知り合い、親戚からはそのように判断されているようだ」

 一郎が、端的に感想を述べる。

「3人の兄弟の中では、トモヤが一番母さんから可愛がられている」

「トモヤくんの弟さんとも初めて会いました。なんだか、ちょっと性格がお兄さんに似てますね」

「三郎? …………………まぁ、3人の兄弟の中では一番頭がいい。だが、僕とは似ていない。どちらかというと、トモヤと共通項が多い」

「俺とも似てないよ」

 トモヤが反論する。

 

「3人とも、そっくりだと思いますけど」

 

 カナが言って、一郎とトモヤは沈黙した。

 

 

 

 

「センセ、失礼しまーす」

 ノックもせず、扉を開いて現れたのは山泉純、そして麗香。

「あ………」

 トモヤとカナは、麗香を見て気まずそうに下を向く。

「あのね、山泉くん…………ノックぐらいしたら」

 新しい煙草に火をつけ、一郎。

「あら、すいません…………最近、なんだか判断能力が低下しちゃって。これって妊娠中毒でしょうか」

 しれっとそう言ってから、純は素早くカナに抱きついた。

「きゃ!」

 とっさのことに対応できない少女。

「赤ちゃんできたんですって? おめでとー! 来年には3人仲良くママねー。一緒に定期検診行きましょう」

「あ…………はい、あの…………」

 カナは戸惑いながらも、純の包容を嬉しそうに受け入れた。

「い、一郎…………お弁当、持ってきたから」

 麗香もまた、ちら、とトモヤ達を意識しつつ、おずおずと弁当箱を差し出す。

「あぁ…………………そういえば持ってくるのを忘れていた。ありがとう」

 受け取り、一郎。

「あと、煙草はやめた方がいいと思う。身体に悪いから……」

 麗香が、言って一郎から煙草を取り上げた。

「あ」

 意外なリアクションに、一郎は煙草を持っていた手をそのままに動きを止めた。

「そうそう、先生、副流煙は妊婦には良くないんです。この際禁煙しましょう」

 にこにこと、純が言う。

「……………………君が黒幕だね、山泉くん」

「はい、そうです。何か?」

「いや…………………何でもないよ。それより、そろそろ昼だろう? 食堂で、ご飯でも食べてきたら?」

「みんなの分のお弁当も作ってきたんですよ。一緒にここで食べましょう」

 純が手に持っていたバッグを前に差し出した。

「───────時々、君は一体何者なんだろうと思う時があるよ」

「追い出そうとしても、そうはいきません」

 膨らみつつある下腹部を手でおさえ、胸を張って純。

「わたし達、ずっと一郎さんと一緒にいるんですから」

 

 

 一郎と純、そしてトモヤが、室内の長テーブルを動かして皆が食べられるスペースを作っていた時、不意に麗香がカナに話しかけた。

「あの…………お、おめでとう」

 カナは意外な一言に驚いたものの、その目をまっすぐ麗香に向ける。

「ありがとう。あなたも…………」

「あ、あのさ」

 言いにくそうに、麗香。

「キス、しても、いい?」

 

 カナは固まった。

 

 脳裏に、数ヶ月前の記憶が蘇る。

 処女を破られ、陵辱された自分。

 目隠しされたまま、一郎に貫かれて泣き叫ぶ麗香。

 トモヤに犯され、泣いていた麗香。

 恋人の目の前で、一郎の子を孕んだ麗香。

 

「いいよ」

 

 カナは言った。

 

 2人の少女が、そっと唇を重ねる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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