第十六章

 

 

 

 


 あの夜、トモヤに中出しされた麗香は、再び1人でシャワーを浴び、裸のまま、純に抱かれて眠った。
 一郎は「ちょっと、まとめたい書類があるから」といって寝室から出ていった。

 
 翌朝、麗香が起きると、一郎がリビングで、ノートパソコンに向かってまだ何かを打ち込んでいた。

 灰皿には、山になった吸い殻。
「あ、おはよう」
 目に隈をつくった一郎が、裸の麗香に声をかけた。
「お………おはよう」
 ぎこちなく返事をし、彼女はバスルームへと向かった。
 シャワーを浴びて出ると、一郎は「大学に行ってくるので、山泉くんによろしく言っておいて」
 といって、朝食も食べずに部屋を出ていった。

 

 遅れて起きてきた純と、彼女はルームサービスを取り、朝食。

 チェックアウトを経て、今、麗香は純の車に乗って街中を走っているところだ。

 

「よく頑張ったね」
 純は、運転しながら、助手席に座る麗香に言った。

「え、何?」
「ん…………昨日のこと」
「あ、うん」
 頷き、麗香は昨夜の最後の性交を思い出していた。

 
 ケンジ達、4人とのセックスでさえ、まだ愛情らしきものを感じたというのに、あのトモヤとの交わりには、そういったものは一切なかった。

 まさに、性器と性器を重ねただけの行為。

 単なる事務作業…………

 それに自分の膣孔を使われてたという底なしの惨めさ…………悔しさ………

 
「ほら、泣かないの」
「うん」

 涙を拭き、麗香はぶるっと頭を振る。
「もう、トモヤくんとカナちゃん、忘れるって言ってたじゃない」
「うん」

「だから、貴女も忘れなさい」
「うん………」
 窓の外の景色が淡々と流れていく。
 時計を見ると、学校では今、3限目が始まったところだ。
「大学、行ってみる?」
「え?」
 麗香が、純の方を向いた。
「だから大学。一郎さん、●●大学の院生なの。来年は助手」
「そうなんだ………」

 大学の研究生。
 その肩書きを聞いて、麗香は確かにしっくりとくるな、と思った。

 
「一郎さんのチンポ、すっごく気持ちいいんだよ」

 
 爽やかな顔のまま、純は小声で囁く。
「…………え?」
「だからぁ、一郎さんのチンポよ。貴女も、試したこと、あるでしょ?」
「え、う………」
 麗香は言葉につまった。
「あ、あのさ…………アンタ」
「純でいいよ」
「純、さん…………その、一郎の、恋人なんだろ? 嫉妬とか、そういうの、ないの?」
「ぜんぜん」
 信号待ち。
「優秀な男に、本当にいい女は嫉妬なんかしないの。わたしは、一郎さんのことが好き。赤ちゃんも産みたい。でも、彼が貴女に赤ちゃん産ませても、たとえカナちゃんに産ませても、わたしはぜんぜん気にしない。優秀な男は、たくさん遺伝子を残すべきだし、そうなってくると、わたしのマンコだけじゃ、ちょっと手が足りないもの」

 

 不思議な女だ。

 
 一郎も不思議だったが、この純も充分普通とは違う。そう麗香は感じた。

 普通ではない。

 普通ではないけども、どこか、惹かれるものがある。
 少なくとも麗香は純のことを、ちょっと好きになり始めていた。

 

 

 

 駐車場に車を停め、純と麗香は大学構内に足を踏み入れた。
「ここが、大学…………」
 高校とはあまりに違う雰囲気に、麗香はただきょろきょろと物珍しそうに左右を見回している。
「入る気、ない?」
「え、あたし、だって、成績良くないし………」
「勉強なんて、いつでも始められるのよ」

 純は涼しい顔で言ってから、ポンと麗香の肩を叩いた。

 5号棟、6号棟………
「ここよ」
 純の言葉に、カナはその建物を見上げる。

 ?号棟………何故か、数字の部分が削れてなくなっている不思議な建物の中へ、2人は連れだって入っていった。

 階段をあがり、廊下を進んで3つ目の扉。

『神崎研究所』とプレートのかかった扉を、純はとんとん、とノックする。
 返事がない。
「先生〜? 入りますよぉ〜」
 がちゃ、と扉を開けると、デスクに突っ伏して一郎は眠っていた。
「あぁ…………やっぱり」
 純はため息をつくと、部屋の窓に向かい、がらっと空けて室内の空気を換気する。
 麗香は部屋の中をただ眺めていた。
「とりあえず、コーヒーとか、飲む?」
「あ、うん」
 しばらく、2人は椅子に座り、一郎が起きるまで待っていた。

 

 

 

 2時間後。
 ちょうど昼時となった頃、一郎は「うぅーん」と呻いてデスクから顔を上げた。

 
「おはようございます」

 
 純の声。
「ん…………あぁ……………………山泉くんか。あぁ〜、今、何時?」
「12時21分です」
 腕時計を見て、純。
「あ、そう…………………いつ、寝ちゃったのかな…………………9時ぐらいまでは記憶があるから、3時間。まぁ、いいか。あの、ゴメン、コーヒー…………」
「どうぞ」
 純が、すっ、と手際よく淹れたてのコーヒーをデスクの上に置いた。

 麗香は、寝ぼけた一郎を面白そうに見ている。

「あぁ……………………ううーん、ん…………目が、醒めてきた。やっぱり、考え方はあっている筈だから、計算式に問題があるか、どこかで単純なミスをしている可能性が高い。それを洗い出して…………」
 コーヒーを片手に、一郎はぶつぶつ呟いた。
「あの、先生。お客さんがきてますけれど」
「…………お客さん?」
 そこではじめて彼は、麗香の存在に気づく。一郎はデスクに転がっていた眼鏡をかけなおし、その顔を見た。
「こんにちは」

 やや緊張した面持ちで、麗香が挨拶する。
「あぁ…………ぁあ、そうか。田中麗香さん。なに? 今日は、社会見学の日?」
 一郎がまだ寝ぼけた調子で、マジメなのか冗談なのか分からないことを言う。
「あ、あの」
「キャンパスを見学しに来たんです」
 純が助け船を出す。
「あぁ、そう…………ここは、無駄に敷地が広いからね。学部も無駄に多いし、ついでに学生も無駄に多い。はは…………上の人間が、無能な証拠だね。僕なら、大学組織を完全にネットワーク化してしまって、必要最小限の研究施設だけにしてしまうけどね。そうすれば、会議なんて無駄もなくなるし、学生もわざわざ大学に来なくてすむ」
「それはもう大学じゃありません」
 純が突っ込んだ。
「そうかなぁ…………………学生にはね、4年間の在籍期間をあげて、全自動で単位を取らせてあげるんだ。そうすれば、勉強したい人間だけが集まる。うん、これぞ真の学舎構想だ…………」
 コーヒーのカフェインでややハイになっているのか、一郎は麗香が見た時のそれとは態度が違った。

 
(子供みたい)

 
「…………ん? なにか、おかしかった?」
 くすくす笑う麗香を見て、一郎が尋ねる。

 

 


   

 

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