第十章

 

 

 

 

「なかなかでしょう? ここのコーヒーは」
 
 だいぶ離れた場所に麗香は連れてこられた。
 市街部の雑踏のただ中にひっそりと建つ、小さな喫茶店。

 店内は薄暗く、客は麗香と、その男しかいないようだった。
「こんなところに連れてきて、どういうつもりなんだよ?」
 彼女は出されたコーヒーには一切口をつけず、きっと男の顔を睨みつける。

 コーヒーの中に、何か睡眠薬でも混ぜられるのでは、と警戒しているのだ。
「飲まないんですか? もったいない…………まぁ、いいですけれど。あぁ、名乗っておいた方が良いですか? 僕の名前は、田中一郎です。はは、麗香さんと名字が同じですね」
「どーせ偽名だろ?」
「ま、それはさておき。とりあえずこの映像でもご覧下さい」
 一郎は、持ってきたバッグからノートパソコンを取り出し、テーブルの上に置いた。

 スリープを解除し、しばしかちゃかちゃと操作した後、液晶画面をくるっと彼女の方へと向ける。

 
「………っ!」

 
 麗香はごく、と唾を飲んだ。

 音はしないが、それは彼女があの日、この男によって貫かれ、よがり狂っているムービーだった。
「なかなか綺麗に撮れているでしょう? さすがに、こんな店中で音声まで再生するわけにはいきませんけれど」
「こんなの、あたしに見せてどうするつもりなんだよ?」

 
「脅迫です」

 

 男はあっさりいった。

 麗香は、その言葉と、普段通り喋る一郎に恐怖を感じた。
「ま、通学している学校の名前と住所、実名つきで、ネットに流したり、裏でDVD販売するぐらいはいつでも可能だという意思表示の為に見せたんです。ほら、この映像、僕の顔はモザイク入りでしょう。編集は終わってますから、すぐにでも流せます。貴女が、泣きながら僕のペニスを挿れて欲しがってる顔なんかは、アップで撮ってありますから、なかなか見応えがありますよ」
「………くっ……」
 予想しておくべきだった、と麗香は後悔した。

 ビデオ撮影ぐらいしていて当然だ。

 これを家族に見られるのはもちろん、拓郎などに見られたら彼女は身の破滅だった。
「そんな暗い顔しないで下さい。つい3時間ほど前に、山下拓郎君とセックスしてきましたね? でも、貴女は殆ど快楽を覚えなかった」

「そ、そんなことっ」
 麗香は唇を噛んで反論したが、それが空しい抵抗である事にも気づいていた。

 とりあえず、今夜のところはこの男、一郎の言う通りにしておくしかない。

 接近して、こっちが弱みを握れば、立場は五分と五分になる。

 それまでの辛抱だ、そう彼女は自分に言い聞かせた。
「あたしにチンポぶち込みたいんだろ? したいんだったら、したいって言えよ! けっ、強姦の次は、ケチな脅迫野郎に職替えかよ。好きにすりゃいいだろっ!」
「物わかりが良くて大変結構です。やはり、状況把握能力と適合力は平均より高めですね」

 
 一郎はそういうと、麗香の手を引いて立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

 2人を乗せたスポーツカーは、都心のホテルの地下駐車場で停止した。

「………ここ、普通のホテルじゃん」
 助手席から降りながら、麗香は呟く。
「ラブホテルというのは、個人的にあまり好きじゃないんですよ。サーヴィスも悪いですしね」
 エレベーターに乗り、8階で一郎は降りた。彼女もその後に続く。
 結構、高級な部類に入るホテルだった。途中、背筋を伸ばした、整った身なりのホテルマンとすれ違う。
「ちょっ、………あたし、泊まるんだったら、家に連絡しないと」
「大丈夫でしょう。貴女はこれまでにも21回、無断外泊している。もう1つ増えたところでどうということもない」
 すでに部屋は取ってあるようだ。一郎が持っていたカードで部屋をあけ、2人が中に入る。

 
「…………スイート?」

 
 麗香は自分が置かれている状況も忘れ、目を見開いた。
 ゆったりした空間。落ち着きある色彩。

 洋造りの室内はシックにまとめられていて、まるで日本ではないかのようだ。

 部屋の隅には大画面のプラズマビジョンまで置かれている。
「ここ、いくら?」
 思わず、彼女は一郎に尋ねた。
「そんなでもないよ」
 彼は無頓着に部屋の中を進み、奥の寝室の扉に手をかける。
「たぶん、15万円ぐらい」

 ガチャ、という音とともに、扉が開く。
 中にはツインベッドが置かれていて、その上に全裸の女性が仰向けに横たわっている。
「純君、まだ寝てるの?」

 一郎が声をかけた。
「………うん、あ、すいません」
 まなこを擦り、裸の女が上体を起こす。

 
(うわ)

 
 麗香の視線が、その女性の股間に集まった。

 M字開脚。秘裂から、白い体液がどろどろと流れ出ている。
 おそらく、この一郎に中出しされたのだろう。

 
「じゃぁ、そちらの彼女が?」

 
 純、と呼ばれた女が、視線を麗香に移した。
「そう」

 と一郎。
「分かりました…………」

「こ、このひと、誰?」

 麗香が一郎に尋ねる。
「誰って…………ええと」
「田中純子です」
 全裸の女性が、ベッドから立ち上がって答えた。

 
(………すっごい美人。田中って、こいつと名字が同じ…………夫婦? まさか…………)

 
 様々な思考が、麗香の脳裏を交錯する。
「あなたが田中麗香さんですね」
 純子、と名乗った女性は、そのままゆっくりと麗香に近づき、突然その唇を重ねてきた。

 
「ッ!」

 
 いきなりの、しかも予想外の行動に、麗香は反応できなかった。
 唇を割って、侵入してくる純子の舌先。
「んんっ、ふぅうっ」
 抵抗しようとしたが、両腕を純子に押さえられ、少女は口内を蹂躙されていく。
 
(あぁうう…………や、やばい、こ、この女…………ぅううっ)
 
 純子の口づけは、甘く、そして巧みだった。
 歯茎の隅々までを、まるで溶かすようにじわぁっと舐めしだく舌。
 互いの唾液が唇から滴り、床の高価そうな絨毯に染みこんでいく。
 
 ここに来る前から、一郎に貫かれることを密かに内心期待していた麗香の秘唇は、いまやパンツの股間生地をぐっしょりと濡らしていた。
 
「今夜はイベントが多いから、大変だよ、田中麗香さん」
 
 純子の舌使いに翻弄されていく中、意識のはしで一郎がそう呟くのを麗香は聞いた。    

 

 

 

 

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