第九章

 

 

 

 

「ふぅ、ふぅ………よかったぜ、麗香」
 
 山下拓郎が、射精を終えたペニスを、麗香の膣口からにゅぷっと引き抜いた。
 仰向けに横たわった状態で麗香は、コンドームを取り外している恋人の姿を、冷めた目で見つめていた。

 
(全然、気持ちよくない)

 
 彼女はあの日、どうやって帰りついたのか覚えていない。目隠しされ、手足を縛られた状態で、誰とも分からない男に、何時間も陵辱された記憶。幾度も気をやり、何度となく泣き叫び、そして気を失った。気がつくと、家の近所の公園のベンチで、1人腰掛けていた。いつの間にか、服まで着ている。夢だったのか、と思ったが、股間の疼きがあれを現実にあったことなのだと知らせていた。空は既に赤く、陽が沈みかけていた。麗香は家に帰り、すぐさまシャワーを浴びた。秘所の割れ目から、どろっと大量の白濁液が流れ出した時には、恐怖でしばらく動けなかった。妊娠したかも知れない。顔も分からない、どこの誰とも知れない男の精液で………

 
「よぉ、ナニ、ぼーっとしてるんだよ? そんな気持ち良かったか?」

 
 拓郎が、タバコをふかしながら、横たわる麗香の傍に腰掛けた。

 ラブホテルでの拓郎とのセックスは久し振りだ。

 全裸の彼は筋骨隆々で逞しく、男の魅力を十分兼ね備えていた。
「………そんなところよ」
 もう何十回も寝ている。

 今までの拓郎とのセックスは、麗香としては満足のいくものだった。

 そう思っていた。

 しかし、あの日以来、彼女が彼の肉棒を受け入れるたび不満を募らせていた。

 
(もっと、奥、ぐりぐりして欲しい。でっかい先太りのチンポで、ぐりぐりして欲しいのに……)

 
 挿入して、20分ぐらいで拓郎は果てる。

 それなりに技巧をこらし、抽送している間にも、胸を触ってきたり、唇を合わせたりしてくれる。

 それでも、あの日、麗香が謎の男に弄ばれて感じた快感に比べれば、まったく取るに足らないものだった。

 

(やだ、あたし、何考えてるの)

 
 自分を犯した相手のことが忘れられないなんて………
 自分はタクが好きなのに。
 麗香は半ば惰性で拓郎の萎えたペニスに口で奉仕しながら、いった。

 

「そろそろ時間だね」

 

 

 

 

 

 

 夜。麗香が拓郎に家まで送ってもらって僅か数分後、彼女の携帯にメールが入った。

 
【あの日の男より】

 

 そのタイトルを見て、彼女は背筋がぞくっとなる。
 麗香は震える手でボタンを押し、メッセージの中身を開いた。

 

 

────────────────────

 

あの日はどうもお世話様でした。
その後、お変わりありませんか?
もし良ければ、家の前まで出てきませんか?
今、貴女の家の前に来ています。
興味がなければ忘れてください。
もう二度と会う事はないでしょう。
5分だけ待ちます。

 

────────────────────

 

 

(今、家の前に?)
 麗香は急いで思考を巡らせた。

 

 あのレイプ男が自分の家の前にいる。

 拓郎に電話して、呼び出そうかと一瞬考えるが、5分じゃ間に合わない。

 これを逃せば、二度と姿を現さないといっている。

 顔さえ見ておけば、後々締め上げることもできるかも知れない。

 これはチャンスだ、と麗香は自分に言い聞かせた。

 念のため、ズボンのポケットに拓郎から護身用にと貰った小型のスタンガンを忍ばせ、身支度もそこそこ、ラフな私服姿で彼女は玄関から外に出る。

 
 車が止まっている。

 赤いスポーツカーだ。
 そのボンネット傍に、背の高い眼鏡の男が佇んでいた。

 
「やぁ、どうも」

 
 麗香は数秒、呆然と玄関の先で立ちつくす。
(こんな若い男だったんだ)
「この件で、ちょっとお話したいと思いまして」
 男は懐からボイス・レコーダーを取り出し、かち、とボタンを押す。
 

『あぁあーん、ああ、ひぎぃぃ、いい、いい、チンポぉ、チンポいぃですぅ〜』
 

 大音量で、麗香の喘ぎ声が再生された。
「ちょっ………何考えてんだ!
 麗香が顔を真っ赤にして叫んだ。

 男はそこで再生を中止し、人なつっこい笑みを浮かべる。
「ちょっと、そこの喫茶店入りませんか? こんなところで立ち話もなんですし……」

 
(あたしを強請る気? ナメやがって………)

 
「別に、イヤならいいんですけれど」
 男は、聞き覚えのある、そっけない口調で付け加える。
「いいよ、行ってやるよ」
 麗香は低い声で同意した。
「じゃあ、車に乗ってください。スポーツカーなんで、乗り心地は期待しないでくださいよ」
 シロウト目にも、高そうな車だ。何百万円、あるいは何千万円の……

 
(こいつ、何者だ?)

 
 助手席に乗り込みながら、麗香は思った。
(とにかく、こいつの正体をつきとめて、復讐してやらないと………)
 が、彼女の企みとは裏腹に、その秘唇は、暗い期待に早くも蜜液を下着に滲ませ始めていた。  

 

 

 

 

 

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