第六章

 

 胎内に衝撃を感じ、麗香は目が覚めた。
 暗い。

 
(あたし、寝てたっけ。連休………違う。起きて、外に出ようと………)

 
「おはよう、田中麗香さん」

 
 男の声。股間の異物感。

 
(え、これ…………夢? あたし、挿れられてる?!)

 
 身動きしようとして、麗香は、自分の手が上に上がった状態で、縄のようなものに拘束されていること。

 そして、足が大股開きにされ、膝を曲げた状態で縛られていることに気づいた。

 
(肌が…………裸? え、え………)

 
 混乱。
 夢にしてはリアル過ぎる。

 

「一応、念のために言っておきますけれど、夢じゃありません。今、貴女の膣内に挿入されているのは、僕のペニスです」
「う、うそ………」
「嘘ではありません」

 
 嘘。嘘。嘘。

 
 うち消したい、嘘のような宣告。

 
 しかし現実に、彼女は膣内部に、男の肉棒の熱、存在感をひしひしと感じ取っていた。

 目隠しされ、闇に包まれているからこそ、その実感の全てが本物であると分かる。

 
「いや、ちょ、おい! 誰だよ、あたしを誰だと思ってんだッ! 殺すぞォラッ!」
「ふーむ…………恐怖心よりも怒りの感情が勝ちましたか。うむ、ではいったん、対話をうち切りましょう」

 
 言って、男は突然激しく腰を使い出した。

 
「痛ッ、痛イィッ、やめろや、ボケぇッ」
 苦痛に顔を歪めつつ、麗香の怒声はやまない。
 少し離れた場所でそれを見ていたカナは、その声にびくっとなった。
 抽送は激しく、何の準備もなく挿入された麗香の秘肉に激痛が走る。
 もとより、一郎の最初の挿入は、相手の性感を高める目的ではなく、ただ射精するだけのものだった。
 1分ほど交わりが続いた後、「む」と一郎が呻くと同時に、麗香が悲鳴をあげる。

 
 どうやら膣内で射精したらしい。

 
「いやぁっ! ちょっ、ナニ中に出してんだよぉおっ、抜け、抜けよぉっ、絶対殺してやるッ!」

 不自由な身をばたつかせ、麗香はあらん限りの声をあげるが、一郎は意に介さず、最後の一滴まで麗香の胎内に注ぎ込んだ。

 
(ざまぁみろ……)

 
 カナが、唇を舐める。

 少女の股間は、すでにパンツにじっとりとシミが浮き出るほど濡れていた。

 
「はい、とりあえず、こんなとこですね」
 一郎がそう言って、麗香の秘孔からペニスを『にゅちゅっ』と引き抜いた。
 開ききった膣穴から、どろりとした精液が溢れる。
 精液は、そのまま尻穴を伝い、一本の白い筋となってシーツにポタポタと流れ落ちていった。
「くそぉ…………お前、覚えてろよぉ! 絶対、住所調べ上げて、お前と、お前の家族を締め上げてやるッ! 金玉も潰して、チンポも寸刻みにして、犬に喰わせてやるからなぁあッ!」
「それは面白い」
 ペニスをしまい、チャックを引き上げながら、一郎。

「田中麗香さん。17歳と1ヶ月。父、田中和史46歳、母、君江42歳。弟、健太郎13歳の4人家族。●●公立高等学校に通い、1年生1学期まで成績は中の上………その後、授業に顔を見せなくなり、赤点の常習者に」
「お前、なんだよ? ストーカーか!? 気持ち悪ぃんだよッ」
 一郎は構わず言葉を続けた。
「初体験は15歳。高校入学後、親しくなった同学年の男子生徒、山下拓郎君と、彼の家で。初体験の時に、彼に中出しされているね? その後、生理が遅く、妊娠の不安を感じた君は、以後のセックスでは、安全日であるなしに関わらず、必ず彼にコンドームの着用を要求している」
「ちょ、お前、どうして………」

 
 麗香の顔色が変わった。

 
 無理もない、端で聞いているカナだって驚いているのだ。
 どうやったら、そんな情報まで手に入れられるのだろうか………?

 
「セックスは週2回ほど。相手は主に山下拓郎君だが、他の相手とすることもなくはない。オナニーは1日平均1回。やらない日もある。だいたい就寝時が多いね。下着が汚れることを嫌う君は、下半身を裸にした状態で、足を閉じ、布団にくるまったまま、主にクリトリスを刺激することによって快感を得ている。ただ、家に誰もいない時などは、布団のない状態でやることも多い」
「ナニモンだよ、お前」
「それは難しい質問ですね。………貴女は何者ですか?」

「なんだよそれ、ふざけんなよ。びびってんのかお前、びびってんだろぉ? 目隠し取れ、顔さらせやぁ、この臆病者の変態がぁ………お前みたいななぁ、早漏の粗チンじゃぁ、ナニも感じねぇんだよぉっ!」

「それは事実と反する。まず、僕のペニスは全長17.2センチ、山下拓郎君より4センチほど長い。次に、僕はある程度、射精をコントロールできる。恐らく君は、さっきの行為から、僕が早漏であるという推論に達したのだろけれど、あれは君の膣内に射精することが目的だったからです。ま、それについては、後で実証することにしましょう」

 一郎は、ポケットから歯磨き粉のチューブ入れのようなものを取り出した。
 キャップを外し、にゅ、と透明なゼリー状のものを左手のひらに出す。
 チューブをポケットになおすと、今度は右手の人差し指を、麗香の膣孔に挿入した。
「ひっ………や、やめろよ! やめっ」

 
 麗香の脅し文句に、カナもだいぶん慣れてきた。

 落ち着いて聞いていると、麗香の台詞はパターン化していて、どうということもない。

 むしろ、彼女が強がれば強がるほど、その現状の惨めさが強調され、それがカナには心地よかった。

 
 指で胎内に出された精液、そして麗香の恥液をすくい取ると、それを左手に出しておいたゼリーと混ぜて、彼女の秘唇に塗りつけた。
「やっ…………な、何してんだよっ!」
「僕の精液と、君の膣内分泌液を混ぜて、内陰唇に塗りつけました。次は乳首に塗り込めます」
「やめろぉっ、き、汚ぇだろうっ! 臭ぇんだよッ」
「確かに、あまり香しいとは言い難いですね」
 麗香の言を聞き流し、一郎はその媚薬入りの体液を、彼女の乳首に塗り込んでいく。
「は………ん、や、やめ、やめろよ、変態ッ…………んっ」
 彼の指使いは、非常にソフトで、そして繊細だった。

 1分もしないうちに、麗香の乳首がぷっくりと勃起し、それにつれ、彼女の言葉数も少なくなってきた。

 
(や………やばい………ちょっと、感じてきた)

 
 麗香は唇を噛みしめ、そのことを相手の男に悟られないようにする。

 一郎の指は、体液を塗り込めつつ、麗香の腋に移動し、脇腹を経て、下腹部付近まで降りてくる。

 当然、そのまま股間にいくと思いきや、再び指はつぅーっ、と、触れるか触れないかの距離でヘソの上を通り過ぎ、右の乳首をかすめた後、彼女のアゴをふわぁ、と撫でた。

 
「ひぅっ…………んっ…………………んん…………おふぅっ…………」

 

(あぁ、お兄さん、すごい、優しい愛撫………)

 
 既に、カナは一郎達の後ろで、スカート越しに股間を擦りはじめていた。

 
(あ、お兄さん、あの女のおっぱいを両手で下から掴んで…………あぁ、なんていやらしい揉み方…………最初にお薬を塗ってから、ぜんぜんアソコに触ってあげてない…………手が縛られてるから、自分でも触れないんだ…………もどかしくて、あいつ、腰をかくかくさせてる…………)

 
 ふと、一郎とカナの視線が合った。少女はびくっと肩を震わせ、股間にあてていた手を引っ込める。

 
(バレた!?)

 
 が、一郎は表情を変えない。彼は愛撫を続けながら、カナに手招きをし、続いて麗香の秘部を指さした。

 
(あ、そっか…………参加するって、言ってたよね)

 
 カナは頷き、一郎に並んで麗香の裸体に接近する。

 両腕を上に広げてベッドの柱に縛り付けられ、M字開脚のまま足を固定された少女は、異性のカナから見てもそそられるものがあった。

 膣穴からいまだ精液を垂らし、ひく、ひく、とうごめく同性の生殖器。

 自分の性器でさえ、そうまじまじ見る機会はない。

 カナは物珍しそうに、しばらく麗香の秘所を観察していた。

 

(ちょっと、わたしのと色が違う感じ………形も、横に広がって、毛も濃くって、すごいエッチ…………………あれは、クリトリス? 皮から、半分先っぽが出てる………そういえばお兄さんが、こいつ、クリトリスでオナニーするって言ってたっけ。わたしのより全然大っきい…………)

 
 不意に、カナの心で、言いようのない嗜虐心が芽生えた。

 これからやる行為の結果を想像し、少女の秘部の奥底から、熱いものが湧き出してくる。

 
(やってやる)

 
 意を決し、カナは人差し指と親指で麗香の陰核をつまむと、そのまま『ぎゅうぅっ』と、思い切り捻り潰した。

 
「きっ、ひぎひぃいいいぃぃぃぃぃいっっっ!

 

 瞬間、麗香は獣じみた絶叫を発し、全身を震わせた。

 舌先を突き出し、鼻水まで垂らして泣き叫ぶ麗香の顔には、既に半月前、カナに行われた陵辱劇を楽しそうに眺めていた女の面影はかけらもない。

 
(もっとこの女を虐めたい………)

 
 カナの内部で、黒い欲情が渦を巻き始めた。

 
「イッたようだね」

 
 一郎は乳房への愛撫を続けながら言った。なおも、麗香の痙攣は続いている。

 
「でも、これからが本番だよ、田中麗香さん」

 

 


  

 

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